大きい蟻、特にクロオオアリは本来、屋外の土中や朽ち木に巣を作るのが一般的です。しかし、家の構造材が特定の条件を満たしてしまうと、彼らは家そのものを格好の巣として利用し始めることがあります。そして、一度家の木材に巣を作られてしまうと、単に不快なだけでなく、建物に間接的なダメージを与える危険性も出てきます。クロオオアリが巣を作るために好むのは、湿気を含んで柔らかくなった木材です。つまり、雨漏りや水漏れ、結露などによって、家の柱や土台、壁の内部の木材が常に湿った状態にあると、彼らにとって巣を掘りやすい、絶好の環境となってしまうのです。彼らはその強力な顎で木材を削り、内部に複雑な巣のトンネル網を構築していきます。この行為は木材を食べるわけではありませんが、内部を空洞化させるため、建材の強度を少しずつ低下させていくことになります。では、家の木材に巣が作られている可能性を示す「危険なサイン」とは何でしょうか。最もわかりやすいサインは、「木くずや、おがくずのようなものの発見」です。蟻が木材を削る際に出る、細かな木の粉が、壁の隅や床の上、巾木の下などに見られるようになったら、それは非常に危険な兆候です。また、巣の近くでは、蟻が巣の中から外に捨てた、死んだ仲間の死骸や、蛹の抜け殻などが見つかることもあります。さらに、特定の壁や柱の中から「カサカサ」「カリカリ」といった、微かな物音が聞こえるようになった場合も、内部で蟻が活動している可能性があります。羽アリの大量発生も、近くに成熟した巣があることを示す決定的な証拠です。これらのサインは、問題が目に見えない壁の内部で進行していることを示しています。もし、これらのサインを一つでも発見した場合は、もはや個人で対処できるレベルを超えている可能性が高いです。建物の構造に関わる深刻な被害に繋がる前に、シロアリ駆除などを専門とするプロの業者に調査を依頼し、適切な処置を講じてもらうことを強く推奨します。