大きい蟻が一匹現れた程度であれば、市販の駆除剤や侵入経路の封鎖といった自力での対策で解決できる場合も少なくありません。しかし、状況によっては、個人の手に負えるレベルをはるかに超えてしまっているケースもあります。その見極めを誤り、対処が遅れると、被害が拡大し、より多くの時間と費用がかかることになりかねません。自力での駆除が困難と判断し、プロの害虫駆除業者に相談すべき「危険なサイン」をいくつか紹介します。最も明確なサインは、「家の木材に巣を作られている形跡がある」場合です。前述の通り、壁の隅におがくずのような木くずが落ちていたり、壁の中から物音が聞こえたり、羽アリが大量に発生したりした場合は、すでに建物の構造内部に巣が作られている可能性が極めて高いです。巣の全体像を把握し、完全に駆除するためには、専門的な知識と機材が不可欠であり、迷わずプロに連絡すべき状況です。次に、「蟻の行列が絶えず、どこから来ているのかわからない」場合も、プロに相談するタイミングです。蟻の行列が家の複数の場所で見られたり、侵入経路を塞いでもすぐに別の場所から現れたりする場合、家の外に巨大な巣があり、そこから無数の蟻が侵入を試みている、あるいは家の中に複数の巣が点在している可能性が考えられます。このような複雑な状況では、発生源の特定が非常に困難なため、専門家の調査能力が必要となります。また、「市販のベイト剤(毒餌)を設置しても、一向に蟻の数が減らない」場合も注意が必要です。これは、ベイト剤が巣全体に行き渡っていない、あるいは巣の規模が大きすぎてベイト剤の効果が追いついていないことを示唆しています。プロは、市販品よりも効果の高い薬剤や、状況に応じた複数の駆除方法を組み合わせることで、難易度の高いケースにも対応できます。プロに依頼すれば当然費用はかかりますが、根本原因を正確に特定し、建物を傷つけることなく安全かつ確実に駆除してくれるという大きなメリットがあります。何より、蟻の影に怯える精神的なストレスから解放されることは、何物にも代えがたい価値があると言えるでしょう。対策に限界を感じたら、それは専門家の力を借りるべきサインなのです。
自力駆除が無理な時のプロへの相談