多大な労力と費用をかけて、ようやく家からねずみを追い出した。しかし、そこで安心してしまうのはまだ早いです。ねずみ駆除は、追い出して終わりではありません。なぜなら、家がねずみにとって魅力的な場所である限り、別のねずみがまた新たな侵入経路を見つけて住み着いてしまう可能性があるからです。本当のゴールは、駆除後の「再発防止策」を徹底し、ねずみが二度と住み着きたいと思わない環境を作り上げることなのです。そのための対策は、大きく三つの柱から成り立ちます。第一の柱は、「侵入経路の完全封鎖」です。ねずみは、わずか一・五センチほどの隙間さえあれば、簡単に侵入できます。家の基礎のひび割れ、壁の配管周りの隙間、換気扇、エアコンの導入部など、外部と繋がる全ての隙間を徹底的にチェックし、金網や防鼠パテなど、ねずみがかじっても壊せない素材で物理的に塞ぐ必要があります。これは、プロの業者に依頼するのが最も確実です。第二の柱は、「餌の徹底管理」です。ねずみが家に定住する最大の理由は、そこに食料があるからです。キッチンにある食品は、必ず蓋の閉まる硬い容器や冷蔵庫に保管し、決して出しっぱなしにしないでください。ペットフードも同様で、食べ終わったらすぐに片付ける習慣をつけましょう。生ゴミも彼らにとってご馳走です。蓋付きのゴミ箱を使用し、こまめに処分することが鉄則です。そして第三の柱が、「巣を作らせない環境」です。ねずみは、物陰や狭い場所を好み、巣の材料として布や紙、ビニールなどを集めます。押し入れや物置に溜め込んだ段ボール箱や古新聞、着ない衣類などは、格好の巣材兼隠れ家となります。不要なものは思い切って処分し、室内外を問わず、常に整理整頓を心がけ、風通しの良い環境を保つことが重要です。この三つの対策を継続的に行うことこそが、ねずみとの永遠の決別を可能にする、唯一の方法なのです。