家の中で大きい蟻を見つけた場合、その場の一匹を駆除するだけでは根本的な解決にはなりません。彼らの侵入を恒久的に防ぐためには、敵がどこから入ってきているのか、その「侵入経路」を正確に特定し、物理的に封鎖することが最も重要かつ効果的な対策となります。大きい蟻は、私たちが思う以上にわずかな隙間を見つけて侵入してきます。侵入経路を特定するための最初のステップは、蟻を発見した場所の周辺を徹底的に調査することです。壁と床の継ぎ目、巾木の隙間、窓やドアのサッシの隅、壁に開けられたエアコンの配管用の穴の周り、基礎コンクリートのひび割れなど、家の中と外を繋ぐ可能性のあるあらゆる隙間を、懐中電灯などで照らしながら丹念にチェックします。もし蟻の行列ができていれば、そのルートをたどることで侵入経路は比較的容易に特定できます。侵入経路の候補となる隙間を見つけたら、次にその隙間を完全に塞ぐ「封鎖作業」を行います。使用する材料は、隙間の場所や大きさによって使い分けるのが効果的です。例えば、壁の小さなひび割れや、サッシ周りのわずかな隙間であれば、ホームセンターなどで手に入るシリコン製のコーキング剤や、隙間用のパテが最適です。これらは乾燥するとゴム状に固まり、耐久性も高いため、長期的な封鎖が可能です。エアコンの配管周りのような大きな隙間には、粘土状のエアコンパテが使いやすく、しっかりと隙間を埋めることができます。基礎コンクリートのひび割れには、コンクリート用の補修材を使用します。この封鎖作業は、一箇所だけでなく、家全体で怪しいと思われる隙間をすべて潰していくという意識で行うことが重要です。地道な作業ですが、この物理的な防御壁を築くことこそが、新たな侵入者をシャットアウトし、長期的な安心を手に入れるための最も確実な道筋なのです。