昆虫学的な詳細を追求すると、テントウムシに似た虫の中には「テントウダマシ」という、そのものズバリな名前を冠したグループが存在します。分類学上はテントウダマシ科に属し、世界中に多くの種が分布していますが、一般の人々にはその存在はあまり知られていません。形態学的な特徴としては、テントウムシと同様に丸みを帯びた体型をしていますが、決定的な違いは跗節、つまり足の節の数にあります。テントウムシは四節ですが、三節目が非常に小さいため三節に見えます。これに対しテントウダマシは、はっきりと四節を確認できるものが多く、また触角の先端が棍棒状に膨らんでいるという特徴があります。生態面では、テントウムシの多くが肉食や草食であるのに対し、テントウダマシの仲間の多くは食菌性、つまりキノコやカビといった菌類を主食としています。森の朽ち木や落ち葉の下に生息し、ひっそりと菌を食べて分解する役割を担っています。中には色鮮やかなオレンジ色に黒い斑点を持つものもおり、野外で見分けるのは至難の業です。彼らがなぜテントウムシに似た姿を選んだのかについては、前述の警告色による擬態説が有力ですが、生息環境の重なりによる収斂進化の結果であるという見方もあります。技術的な観察を行う場合、ルーペを用いて触角の節の形状や、翅の縁の盛り上がり方を確認することで、これらを峻別することが可能です。多くのテントウダマシは人間に直接的な被害を与えることはありませんが、農作物の近くで見つかると害虫と誤解されて駆除されてしまうこともあります。このように、名前には「騙し」という不名誉な言葉がついていますが、彼らは決して人間を騙そうとしているわけではなく、独自の生態系ポジションを確立している立派な昆虫の一群です。一見すると同じように見える「丸い斑点模様」の裏側には、科レベルで異なる劇的な多様性が潜んでおり、それを紐解くことは、昆虫学の奥深さを知る醍醐味と言えるでしょう。
てんとうだまし科の分類と生態的特徴