多くの一般家庭を訪れ、衣類被害の現場を調査してきた専門家の視点から見ると、カツオブシムシの成虫が家の中に現れる背景には、驚くほど共通した「死角」が存在します。インタビューの中で専門家は、成虫がただ偶然に入り込むだけでなく、いかに戦略的に室内の潜伏場所を選んでいるかについて詳しく語ってくれました。まず、意外な盲点として挙げられたのが「照明器具のカバーの中」です。成虫は明るい場所に集まる習性があるため、夜間に室内の電気をつけると、そこへ向かって飛び込み、カバーの中で息絶えたり、あるいはその周辺を産卵の拠点としたりします。定期的に照明カバーを掃除した際、小さな丸い虫の死骸が大量に見つかるようであれば、それはその家がカツオブシムシにとって非常に侵入しやすい環境であることを示しています。また、専門家は「和室の畳の隙間」や「じゅうたんの裏側」の重要性も強調しました。成虫は窓から侵入した後、すぐにクローゼットに向かうとは限りません。まずは身を隠せる暗くて静かな場所を探します。特に自然素材を用いた畳やじゅうたんは、幼虫にとっても食料となるため、成虫にとっては安心して卵を託せる場所なのです。さらに、最近の住宅で増えている「全館空調の吹き出し口」や「換気扇のフィルター」も、彼らにとっては格好の侵入経路かつ待機場所となります。外部から吸い込まれた成虫がフィルターに引っかかり、そこから這い出して家の中へ広がるケースが後を絶ちません。専門家が最も警鐘を鳴らすのは、実は「鳥の巣」との関係です。家の軒下や戸袋に鳥が巣を作っている場合、そこには鳥の羽や糞といった、カツオブシムシの幼虫にとって最高の栄養源が豊富にあります。ここで大量発生した成虫が、窓から家の中へと「供給」され続けるという構図です。もし、どれほど家の中を綺麗にしていても毎年成虫を見かけるのであれば、家の外壁や屋根付近に鳥の巣がないかを確認すべきだ、とプロはアドバイスします。駆除の現場では、単に殺虫剤を撒くだけではなく、こうした根本的な発生源を特定し、物理的に封鎖することが求められます。成虫がどこに潜み、何を狙っているのか。その行動原理を知り尽くしたプロの言葉は、単なる掃除の範疇を超えた、住宅管理としての防虫対策の重要性を物語っています。成虫一匹の姿は、家というシステム全体の脆弱性を指し示すサインなのです。
害虫駆除のプロが教えるカツオブシムシ成虫の潜伏場所