それは春の陽光が眩しいある休日の午後のことでした。庭の生垣に植えているネズミモチの葉の上に、一匹の小さな黒い虫が止まっているのを見つけました。大きさは四ミリほどで、全体的に黒く、翅の後方に二つの鮮やかな赤い紋があります。その丸みを帯びたフォルムは、どこからどう見てもテントウムシの一種に見えました。私は珍しい種類のテントウムシを見つけたと思い、嬉しくなってカメラを向けました。しかし、しばらく観察していると、その虫の動きが本物のテントウムシとはどこか違うことに気づきました。テントウムシよりも素早く、何より驚いたのは、指を近づけた瞬間にピョンと力強く跳ねて逃げたことです。後で調べて分かったのですが、その虫の正体は「ヘリグロテントウノミハムシ」というハムシの仲間でした。テントウムシに似た色と形をしていますが、実はノミのように跳ねる性質を持つ、全く別の昆虫だったのです。この虫は生垣や庭木として人気のあるネズミモチやヒイラギの葉を食害する害虫として知られています。新芽を好み、小さな穴を無数に開けてしまうため、美しい生垣を維持したい人にとっては頭の痛い存在です。私はこれまで、丸くて斑点があればすべてテントウムシだと思い込んでいましたが、自然界にはこれほどまでに巧妙に似た姿を持つものがいるのだと痛感しました。テントウムシが肉食でアブラムシを食べてくれるのに対し、このノミハムシは植物の葉を主食にします。見た目が似ているのは、やはり捕食者に対する警告色としての役割があるのでしょう。それ以来、私は庭で丸い虫を見かけるたびに、そっと観察するようになりました。もしそれが跳ねるようなら、それはテントウムシではなく、植物を守るために注意すべきハムシの仲間かもしれません。似て非なるものの存在を知ることで、庭の生態系をより深く、正しく理解できるようになった気がします。美しい花や緑を守るためには、時にはその愛らしい姿の裏に隠された正体を見抜く冷静さが必要なのだと、小さな跳ねる虫が教えてくれました。
庭の生垣で見つけた偽物のてんとう虫